モルモン幹部の莫大な『お手当』
無報酬だが「お手当」ありの欺瞞。
モルモンの信者は皆「無報酬で奉仕しています」と言います。確かに平信徒やステーク、地域の幹部レベルは無報酬で奉仕しています。しかし、モルモン教会の中央幹部は無報酬ではありません。彼らは莫大な「生活手当」(Living Allowance)を受け取っています。ここでは、モルモン教会の中央幹部(General Authorities)が受け取る「生活手当」の実態を紹介します。
生活手当を貰える中央幹部(General Authorities)とは
教会の組織は、全世界を指揮する「中央幹部(General Authorities:ゼネラルオーソリティ)」と、特定の地域を担当する「地域幹部(エリアオーソリティ)」、そして地元の教会(ステークやワード)を管理する「ローカル幹部」に分かれています。中央幹部とは以下の面々です。
- 大管長会
- 十二使徒定員会
- 七十人第一・第二定員会
- 管理監督会
そして、これら「中央幹部」が「生活手当」を受け取っています。
なお、教会の事務職員や教育部の職員は給料を支給されています。また、伝道部長職はその任にある間は「生活手当」を支給されます。
※ 地域幹部(七十人第三〜第八定員会など)や、地元のステーク会長、ビショップなどは完全な無給ボランティアです。
中央幹部の生活手当の額
じゃあ、ぶっちゃけ彼らはいくら貰っているのか?教会は公式に財務詳細を公表していませんが、2017年の内部文書の流出(LDS Leaks)や、その後の独立した分析レポート(Widows Mite Report など)によって具体的な数字が判明しています。
2014年時点で基本手当が年間12万ドル(当時のレートで約1,300万〜1,400万円)でした。現在は物価スライド等を考慮すれば、年間約15万〜16万ドル前後(約2,200万〜2,400万円程度)となります。この基本手当は役職にかかわらず一律(トップの大管長であっても、新任の七十人であっても同額)とされています。教会広報も「全員一律の手当である」と認めています。
その他の支給品・福利厚生プラスアルファ
これがなかなか馬鹿になりません。
- 住居費・住宅ローン:ゼネラルオーソリティに任命されると、本部の所在地(ユタ州ソルトレークシティー)や任地に赴任する必要があります。その際、教会が所有・管理する高級マンションや一戸建てが提供されるか、住居手当・家賃補填が全額出されます。持ち家のローンについても、無利子融資の提供や特定の住居関連費用を教会が負担・相殺する仕組みが存在することが報告されています。
- 医療費・保険:幹部とその配偶者の医療保険・健康保険料、医療実費は教会によって全額(あるいは非常に高い水準で)カバーされます。
- 交通費・車両:公用車(専用車両)およびその燃料代・保険料が支給されます。また、世界中への出張費、ファーストクラスやビジネスクラスなどの移動経費は全額支給されます。
- 教育費:子供や家族の学費(特に教会が運営するブリガムヤング大学など)の全額・一部免除や教育費の補填が行われます。
- 食費・光熱費・日当:出張中や任地での食事・光熱費・日用雑費などは経費(日当/Per Diem)として精算されるため、個人で手当から持ち出す必要はありません。
なかなか豪勢な生活ですね。泥をすするように献金を納めて教会に奉仕している平信者を見てきた私としては本当に腹が立ちます。なにが「生活手当」でしょう。がっつり「報酬」です。
「生活手当」の出所は
教団は財源を「会員が納めた『什分の一献金』からではなく、教会が所有する商業投資の収益から支払われている」と説明しています。その商業投資を一手に引き受けているのはエンサイン・ピーク・アドバイザーズ等の教会関連企業です。教団は、世界中に不動産、農地、商業施設、ホテル、金融資産などを所有しており、モルモン教の総資産額は2,000億〜2,600億ドル(約30兆〜40兆円規模)と推計されています。その収益が中央幹部の生活手当に充てられています。
このエンサイン・ピーク・アドバイザーズ(Ensign Peak Advisors)は2023年に米国証券取引委員会(SEC)から調査を受け、合衆国を驚かせました。教団の資産を隠すためペーパーカンパニー13社を作り、虚偽の報告書を提出したりしていたのです。この件では同社と教団とがあわせて500万ドルを支払うことで和解が成立しました。相当にドス黒い会社ですね。
エンサイン・ピーク・アドバイザーズについては別項にて詳しく考察したいと思います。
中央幹部の収支は公開されているのか?
こんなに真っ黒なのに、現役中央幹部の個人収支および教団全体の財務詳細は公式には一切公開されていません。米国の法律上、宗教法人には詳しい財務情報の開示義務がないため、教会は1959年を最後に公式な決算情報や個別手当の額を公表していないのです。
現在知られている計算数値は、内部流出文書(2017年 LDS Leaks)によるものです。ここには2014年時点の幹部基本手当が「12万ドル」であった給与明細のデータがありました。元信者や金融アナリストらによる有志グループが、英国やカナダなど「宗教法人にも公表義務がある国」の決算書や物価上昇率、BYU(教会立大学)の財務報告などを分析して試算したデータなのです。
モルモン教団の推計2,000億〜2,600億ドル(約30兆〜40兆円超)という総資産は何に匹敵するのでしょうか?これはニュージーランドやハンガリー、カタールといった中堅国家の国家予算やGDPに相当、あるいはそれを上回る規模です。モルモン教の投資ファンドは、単なる一宗教団体の予備資金の域を完全に超えており、「小国の国家財政をはるかに凌駕する世界最大級の機関投資家」となっています。
国家であれば、財務省や会計検査院などの監査機関が存在し、国民に対して財務報告を行う義務があります。しかし、宗教法人であるモルモン教団にはそのような義務はありません。国家であれば、減税や社会福祉など納税者は恩恵を受けることができます。しかし、モルモン教団は献金の徴収を緩めることすらしません。
信者は怒るべきでしょうし、当局は法改正してでも手入れをすべきでしょう。
信者はそうめん食って献金と奉仕。幹部は「生活手当」でスキヤキ。